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じょしおちっ!~2階から女の子が…降ってきた!?~ 振り返り感想

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RPG不動産』第8話に触発されての観返し視聴。出オチ感満々の1話から繰り広げられる怒涛のエロゲ&ハーレム展開に二転三転する人間関係と、最後まで失速しないドタバタ劇が最高にエンタメな僧侶枠だった。

歴代の僧侶枠を振り返っても、この作品ほど男性向けに特化した作品は珍しいんじゃないかな。ほぼ全編を通して男性主人公である相川壮介の目線でお話が進んでいく構成も、男性向け僧侶枠の減った昨今のAnime Festa枠を見た後では新鮮だ。

 

【キャスト・スタッフ】  

相川 壮介:本多啓吾  

清水 由紀:歩サラ  

丹生 砂生:小花モモコ  

花園 柚子:秋本ねりね  

監督・脚本:ジンキトモシヨ  

キャラクターデザイン:うるし原智志

アニメーション制作:ark  

製作:彗星社

 

第1話「あの子へとつながる、穴。」

問題の第1話、主人公である相川壮介のスムーズな身の上話モノローグに始まり、ヒロイン1号である大家・清水由紀の紹介と流れるような導入が美しい。

翌日は朝っぱらからの騒音問題に乗じて早くもヒロイン2号・丹生砂生の登場。相変わらず初期の僧侶枠とは思えないほど美麗作画且つ、原作に忠実なキャラデザも終始安定していた。主張の激しいクラシック風の劇伴も、彼女の舞台女優志望設定を強く示唆しつつ初対面の緊張感を際立たせる上手い音響だ。

そして日も落ちて例の瞬間、床抜けのフェーズ1として下半身だけが下の部屋に突き出した所謂壁尻ならぬ天尻状態。後の挿入に先駆けてパンチラに擬似クンニと、アクロバティックな姿勢で前戯を済ませるとは流石の職人芸。

二階床の決壊と共に宙を浮く丹生の身体、完璧なタイミングで表示されるタイトルロゴ、絡み合う♂と♀、ダメ押したばかりに最悪のタイミングで現れる清水の登場。全てが荒唐無稽で僧侶枠の初回に相応しい1話だった。

サブタイトル「あの子へとつながる、穴」もアパートに空いた「穴」と丹生の「穴」のダブルミーニングと天才的、伝説の始まりに相応しいベストサブタイだ。

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第2話「上には穴、横には君。」

大家・清水の説教から始まる第2話。大家として責任を取った結果が丹生に部屋を貸した清水と相川の同棲と、僧侶枠らしいトンチキ展開が楽しすぎる導入だ。

寝相の悪さを言い訳に披露される圧巻のプロポーション、密着からの耐えきれなくたった相川の通常版規制とテンプレすぎる流れも嬉しすぎる。

事後の「最っ低っ!」発言から二人の間に引かれる境界線。満更でも無さそうな清水の顔からEDテーマ「コイノアナ」のサビ「私だけを見て〜」を経て、爽やかな表示でバイトに向かう相川のカットで締める引きがなんとも味わい深い。

サブタイトル「上には穴、横には君」も2階の丹生を気にしつつも、隣にいる清水を意識せざるを得ない相川の複雑な心情を示唆する良いサブタイだ。

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第3話「穴から降りて、パンツがひらり。」

消灯後に夜這いをかけてくる丹生から始まる第3話。慣れた動作で音もなく穴から降り立ち、相川の上にピンポイントで着地を決める姿が異常すぎる導入だ。娼婦さながらの装いも僧侶枠といえどもだいぶ攻めてる。

昨日のアレを忘れられずに襲いかかる丹生、自戒を決意した相川の理性も呆気なく決壊と僧侶枠らしい貞操感が嬉しい。「柔らかい中に硬いポッチが二つ」のセリフもツボ。丹生さん、こうしてみると性欲の強さは僧侶枠の中でも上位クラスか。

翌朝、清水のラッキースケベから始まり彼女の好感度ダウン待ったなしと思いきや、丹生との恋仲を否定した途端に突然の上機嫌。本格的にラブコメ色が強くなってきたところで女物パンツの忘れ物発見と急展開。

畳み掛けるようなチャイムに驚き拍子で押し倒しからのブラウス弾けラッキースケベと「そうはならんやろ」の強襲が楽しすぎる。留守を不審に思った丹生の「居ないのかな、声が聞こえたような…穴から降りてみよう」も書き起こしてみると異常すぎる台詞でこの作品のシュールさを際立たせる。

サブタイトル「穴から降りて、パンツがひらり。」は夜這いを仕掛けにきた丹生の忘れ形見を、詩的かつ間接的に言い表した小洒落たサブタイだな。

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可愛ければ変態でも好きになってくれますか?第1話サブタイ

 

第4話「穴があったら入りたい。」

クライマックス感漂う緊迫した劇伴と共に穴を覗き込む丹生から始まる第4話。誤解を避けるべく身を隠そうとする相川と隠し事を疑う清水のすれ違いがいかにもラブコメらしい。いざとなったら唇で口を塞ぐ僧侶枠メソッドも安心感の塊だ。

通常版規制が終わった途端にパンツを発芽していた丹生。何が起こったのか全く分からなかったものの、冷静さを取り戻した清水のビンタ→タイトル表示の件がいかにも"らしい"様式美。

バイトから帰った相川に待っていたのは清水・丹生との四畳半同居生活と、ここにきて大きく変化する三人の生活形態に期待が膨らむ展開だ。それにしてもいやらしいことをされた者同士、一人でいるのは危険だから同棲するが吉という理論もどうなのか。                 

「おいおい、俺の生活…どうなっちゃうんだよ〜〜〜!!!」

流れるようなお風呂場でのラッキースケベ、あっさり混浴を了承する丹生ちゃんはもはやノーガードか。舞台の稽古を口実にガンガン攻め割に、エッチなことは禁止とは手厳しい。僧侶枠屈指の美味しいハーレムシチュで生殺しの焦らしプレイを強いられる相川の明日はどっちだ。

サブタイトル「穴があったら入りたい。」は誰を表したサブタイだったのか。今回のエピソードでそこまで恥じらいを感じるキャラはいなかったように思えるし、正直サブタイの「穴」縛りに合わせて上手いこと言いたいだけだった感も否めない。

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第5話「私の目は節穴じゃない。」

相川と丹生の濡れ場規制から始まる第5話。危険を察知し駆けつける清水を慌てて誤魔化すも脱衣所の衣類で感づくとは、僧侶枠の女性キャラは肝心なところで勘が鋭く働くな。

バイトから帰宅し、タイミングよく清水と二人きりになる相川。明かりを消した部屋の隅で枕を抱えて泣く清水がここにきてヒロインレースを大幅リード。グイグイくる丹生とは裏腹にいじけモードで気を引く姿が愛らしい。

相川も「清水の涙を前に彼女の笑顔が好きだったはず」と原点に立ち返り、折り返しの5話というタイミングで殻を破る時期か。

場面が変わって突然の温泉旅行展開。清水は天井修理を理由に誘いを断るかと思いきや、カニ食べ放題と聞いたと途端に目の色を変える謎の蟹好き設定が、先程までの暗い雰囲気を消しとばす良い緩急ギャグだった。

僧侶枠特有の爆速テンポで道中の旅もすっ飛ばし、即お風呂。残念ながら混浴とはいかなかったものの、日常生活が混浴と化している三人に取っては寧ろ2対2の場を設けられる貴重なシチュエーションだ。

じょしおちヒロインズのやりとりから清水さんの男性経験0が判明と、やはり相川抜きで語れる場は重要だったな。相川への想いを濁す清水に対し、直球で片想いの心を明かす丹生の図も上手いヒロイン像の対比だ。「二人で来ればよかったのに」という清水の言葉に「楽しいことが好きなの」と突き返す丹生、共同生活の中で積み重なった友情・信頼関係がここにきてハッキリと明言されるとは。丹生に対する清水の誤解も解け、晴れて呼び捨ての仲になる二人。『じょしおちっ!』、マジで僧侶枠云々を抜きにしても5分アニメとは思えぬほどキャラクター描写や掘り下げが丁寧で、観返しながらその名作っぷりをひしひしと感じるな…。

今回のサブタイトル「私の目は節穴じゃない」が指すのは勿論冒頭の洗い場で清水が相川の着替えを発見するシーン。かと思いきや、最後の入浴シーンでは丹生とのやりとりを経て彼女に対する自らの「節穴」っぷりを反省と、今回のエピソード内における清水由紀の言動にフォーカスした含みのある妙なサブタイだった。

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第6話「同じ穴のむじな。」

前回の約束通り、カニ食べ放題の宴会モードから始まる第6話。すっかり眠りかけてしまった丹生を他所に酒乱モード全開になる清水、通常版規制を経てシラフに戻ると同時に悲鳴を上げる彼女だったけど、果たしてどこまで致してしまったのか。目を覚ました丹生も一見冷静に見えたものの、湯に浮かんだゴムを眺めるその表情は暗い。

舞台はお祭りの場に移り、相川と二人きりになる丹生。温泉で清水に対して言い放った「三人一緒なら楽しい」を否定し、涙を流しながら譲れない恋心を打ち明ける迫真の告白シーンは僧侶枠とは思えない純ラブコメのソレだ。彼女もクズだからと清水へのちょっかい自体は覚悟の上のようだったものの、やはり先程の客室での一件が引き金となったか。

唐突な和風三味線BGMと共に始まる通常版規制。相川視点(攻め)で話が進む通常時はクラシック調の劇伴が主であるところ、ヒロインである丹生が攻める際は和風の劇伴に転じるという音響のこだわりが趣深い。自身も同じクズであると漏らしながら温泉街の一角である竹林で盛る丹生、キスへのがっつきから相川の童貞臭を嗅ぎ分けるとはまるで淫魔の化身だ。

結局相川も「私だったら満足させられる」発言に乗せられ通常版規制からの反省モードと、もはや様式美すら感じるお決まりパターンにも安心感を憶える。最後に丹生が言い放った「どっちか選べなんて言わない」発言の裏に隠された真意は如何に。

今回のサブタイトル「同じ穴のむじな。」が指すのは当然竹林で交わされた二人の会話。相川に対する清水の想いを知りながらも、彼を誘惑する自身をクズと評する丹生。共に堕落する道へと誘うこの魔性の女に抗う術はあるのか。

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第7話「壁にも…のぞき穴。」

丹生がヒロイン演じる舞台を鑑賞する相川・清水のシーンから始まる第7話。普段と異なる舞台上での彼女の真剣さを目の当たりにした相川は、改めて自身の不甲斐なさを自戒する。

回想へ入りいつものアパート。丹生は自身の登壇する舞台に二人を誘うも、図らずとも相川と清水のデートシチュエーションを作り出してしまう痛恨のミス。案の定舞台の濡れ場を見て発情する清水に対し、すかさず通常版規制と僧侶枠お決まりの公共の場における情事が異常な倫理観だ。

終演後に顔を合わせる3人。素知らぬ顔で迫真の演技に賞賛を送る相川に対し、丸見えだったと告げる丹生。相川も本日二度目の反省と、本当に改善する気があるんだから無いんだか。

アパートへ戻るとこれまた唐突に相川の幼馴染である3号ヒロイン・花園柚子が登場。相川の彼女を名乗る破天荒娘の加入で複雑な三角関係も更に難化とは、流石に相川に同情の心も湧いてくる。

怒れる清水・丹生によってひとまずは隣部屋に回されたと思いきや、突如相川の部屋に現れる謎の穴。一瞬の通常版規制を挟んだ途端に崩壊する壁、覗き行為に歓喜し抱きついてくる柚子、乱入する清水・丹生とこれでもかと言わんばかりのトンデモ展開が僧侶枠らしい。

大家である清水が壁穴に怒るところまでは理解できるものの、結局あの穴は誰が開けたのか謎が残る。清水による唐突な海水浴提案から水着勝負で真のヒロイン決定戦と、最後までトンチキ要素がてんこ盛りのイカれ回だった。

今回のサブタイトル「壁にも…のぞき穴。」が示すのはもちろん相川と柚子の部屋の間に空いた「穴」。これまでも作中において心の隔たりを打破を示す象徴とされていた「穴」だったが、注目すべきはその方向性。丹生の際には天井によって隔てられていた一階・二階の縦方向における物理的な「壁」が「穴」によって打ち壊され、相川との間の精神的な「壁」も崩される。

対して今回の柚子の場合は、相川と幼馴染の関係であるという心の距離感の近さが、縦方向の隔たりが存在しない隣室という形で表される。そして横方向の隔たりも、覗きを働こうとする相川の歩み寄りによってあっさりと「壁」が崩れ落ち「穴」ができる。こうして考えるとあの「穴」は、長年顔を合わせていなかった二人の間に流れるぎこちなさを「一緒にお風呂に入った思い出」「幼少期の結婚の約束」といった小さな事象によって解くための心の鍵と捉えることも出来るか。

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第8話「2人で密着、浮輪の穴。」

じょしおちヒロインズ3人の水着姿から始まる第8話。前回の約束通り海水浴へと赴き、ジャンケンの果てに相川の隣を勝ち取る柚子。「公共の場でエッチなことはしない」と言い放つ清水に対し、先の劇場での一件を持ち出す丹生のツッコミも改めてイカれてる。

一つの浮き輪に二人で入る相川と丹生。通常版規制で何が起こったのかは定かでないものの、およそ水着が外れたのを相川の口で隠そうとする的なやりとりが行われていたのだろう。「そういう関係になりたいわけでは無い」と幼馴染としての関係継続を望む相川に対し、平然と「気持ちいいだけの関係でいい」と返せる柚子も強敵だ。相川もケジメを付けようとする意思こそ見せたものの、僧侶枠前回の倫理観の持ち主には届くはずもない。

場面は変わってビーチの小屋で二人きりになる相川と丹生。今回も他の女との情事を咎める丹生だったが、今回は嫉妬に身を任せて襲おうとしないのは成長か。反面相川はそんな彼女を見てかわいい連呼からの10分だけ恋人宣言。もはや反省の色が全く見えない手のひら返しっぷりに頭が痛くなる。

小屋を出ると清水と鉢合わせ。僧侶枠の終盤特有の修羅場展開…と思いきや微笑みながら普段通りの対応に疑念が残る煮え切らない〆だった。

今回のサブタイトル「2人で密着、浮輪の穴。」が指すのは既に修飾語として示されている浮き輪の穴。相川と同じ穴に入ることで物理的にも精神的にも密着する柚子に対し、彼と「同じ穴のむじな」である丹生が業を煮やす構図が味わい深い。

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第9話「穴よ、閉じないで。」

シャワー室で相川に言い寄る清水から始まる最終回の第9話。ここにきて二人との行為について突き詰め、自分も迫れば応じてくれるのかと問いかける。

丹生と柚子もシャワー室を訪れ、同室で身を寄せる清水・相川に対し、一人でシャワーを使う二人。奇しくもシャワー室での部屋と人の配置がアパートのソレを思わせるのが面白い。

相川を下の名前で呼ぶ丹生に対し、ここぞとばかりに彼の不満をぶち撒ける清水。スイッチが入った相川が攻めに転じ、声を押し殺しながらの行為が王道のシチュエーションだ。普段より深く絡み合う♂と♀の通常版規制を見るに、今度こそ本番を致してしまったのか。

先にシャワー室を後にする二人を余所に、清水の笑顔が何より大事だと原点回帰を決める相川の言葉も最終回らしい。これでもかと言わんばかりに連発される「お取り込み中❤️」の♂♀記号の絡みも天才的。

縦方向の壁を穴によって繋げた丹生、横方向の壁を穴によって繋げた柚子に対し、一人だけ穴から離れた場所にいた清水が最終回にして同じシャワー室という穴の中で繋がる。舞台を普段のアパートから海水浴場に移したことで、ようやく彼女が穴にとっての天敵である「大家」という役割から解かれる脚本も実に良く出来た構成だ。

結局真のヒロインを決定する水着審査も水の泡となり、アパートの穴から始まったドタバタ劇は今後も継続と、この作品らしい何も解決しないどっちつかずなオチが秀逸な締め方だった。誰も居なくなった二階を見上げながら、穴を中心にしたアイリスアウトからタイトルを出す〆も本作らしい最高のオチである。

サブタイトル「穴よ、閉じないで。」が指すのはおそらくシャワー室での清水の心情。相川を独占できるシャワー室という場は彼女にとって無二であり、彼女が大家という役割から解放される唯一の穴であった。最終的にアパートの穴は直ったということで、既に穴を経て相川との距離を縮めた彼女達が幸せになれるのかどうかは彼のケジメ次第か。

このサブタイは視聴者の心の声の代弁とも取ることができ、全9話という儚い時間の後で視聴者の心に空く穴を汲み取った製作側の遊び心なのかもしれない。単純にこの作品を締め括るサブタイトルとしても、これ以上のモノは到底考えられない完璧なフレーズだった。

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総括

総じて一発ネタ丸出しの題材とは裏腹に、本作のテーマである「穴」を通して変化していく主人公とヒロインの関係性や、同棲の中で複雑化していくヒロイン達の心理描写が綿密に描かれる僧侶枠の枠組みを超えた名作ラブコメ作品だった。

主人公である相川のどこか憎めないエロゲ・ギャルゲ出身感のあるキャラクターも、男性向けである僧侶枠ならではか。ヒロイン達を次々と手玉にとるクズっぷも絶妙にヘイトを集めない動かし方が上手い塩梅だ。各ヒロインについても大家・女優志望・幼馴染と明確なキャラ付けで差別化されており、時には協力し時には出し抜き合う姿に目が離せない魅力的な個性派揃いで各話における活躍のバランスにも妙に感じる。

主題歌である『コイノアナ』も1話で身体だけでなく心も堕ちてしまった丹生の独占欲。幼少期の思い出が脳に焼き付いて離れない柚子の大胆な言動の裏に隠された本音。自身のワガママを口に出せず心を燃やす清水の胸の内を表した名曲だ。

主題歌のタイトルから各話のサブタイトルと細部に至るまでとことん「穴」にこだわり抜いた本作。改めて歴代僧侶を見返しても最後までコンセプトが一貫した最高のエンターテイメント作品であった。

この場で僧侶枠改めAnime Festa枠への日頃の感謝と敬意を表すとともに、今後の益々のご発展と活躍を心よりお祈り申し上げます。